1 準備

1.1 FPGA開発環境の準備

MU200-SXは、FPGAボードにVDEC用拡張コネクタを搭載したものです。FPGAには、Altera社Stratixファミリの EP1S25F1020 が搭載されています。このデバイスは、Altera社のFPGA開発環境 Quartus II でコンフィギュレーションする必要がありますが、無料配布されている、Quartus II Web Edition は対応していません。正規版を購入するか、ユニバーシティ・プログラムでライセンスを取得する必要があります。また、コンフィギュレーションROMに書き込みを行うため にByteブラスタまたは USBブラスタ(またはこれらの互換品)が必要です。

1.2 HDLシミュレータの準備

入力ベクタは、HDLのテストベンチからVCDファイルを出力して使用します。Cadence社の ncverilog が使用できます。Verilog-XLが出力するVCDのフォーマットは、ncverilogと微妙に異なっているので、使用しないほうが無難です。アルテラ社の Quartus II は、入出力ポートを持たないトップモジュールが走らないので使用できませんでした(私が回避方法を知らないだけかもしれませんが)。

(参考)VCDは、Verilogシミュレーション結果のダンプリストです。LSI検証ツール関係では、標準的に使用されているフォーマットです。

1.3 VDEC DUTサブボードの準備

試作LSIのパッケージに対応したVDEC DUTサブボードが必要です。このボードは、各地のVDEC地域拠点大学(VDECサブセンター)のLSIテスタにVDEC試作チップをマウントするために作られたもので、東京大学VDECで提供されているソケット変換ボードではありません。各種パッケージへの対応状況は、サブセンターの管理者にお問い合わせください。

1.4 ワーキング・ディレクトリの作成

多数のファイルを作成することになるので、各測定ごとにワーキング・ディレクトリおよびその配下にFPGAディレクトリを作成することをお勧めします。必要なファイルを下記の表に示しますが、集積回路工学研究室の人は、まとめて C:\PowerMedusa 以下のディレクトリとファイルを全て自分のホームディレクトリにコピーしてください。必要なファイルがない場合は、MU200-SXに付属のCD-ROM内を探して、コピーしてください。

ファイル名内容
MU200LogicOut.exeMU200のロジアナ機能制御プログラム
SXマニュアルver*.pdfMU200のハードウエア説明書
操作説明書ver*.pdf測定方法に関する説明書
SXピンアサイン表.xlsFPGAピン番号とMU200のデバイスやVDECサブボードピンの対応関係の表
FPGA/top_logiana.vなどFPGAのデザインファイルを配下のディレクトリを含め全て
FPGA/top_logiana.qsfFPGAのピンアサインファイル(手入力するかここでダウンロードしてください

1.5 マニュアルに目を通そう

初めてMU200を使用する人は、SXマニュアルver*.pdfを読んで、MU200の機能を把握してください。次に、操作説明書ver*.pdfを読んで、測定の仕組みと操作手順の概要を把握してください。MU200とPCを接続するUSBドライバのインストールがまだなら、操作説明書に従って、インストールしてください(集積回路工学実験室の開発用マシンはインストール済みです)。さらに、追加の注意書きがあれば、それも目を通しておいてください。それでも、FPGAの設計やLSIテスタの取り扱いに慣れた人でなければ、具体的な設定・操作方法はさっぱり分からないでしょう。本ページでは、このような人を対象に、上記の付属マニュアルを読んだことを前提として、説明および必要なデータを提供します。

MU200の信号の流れは、下記の図のようになります。FPGAは、ピンアサインスイッチ + ロジアナとして機能します。pinアサインは、チップごとに異なるため、測定チップごとにFPGAのHDL記述を編集してFPGAのコンフィギュレーションROMに書き込む必要があります。

Signal Flow

測定結果を得るまでの操作の流れは下記の図のようになります。

Measurement Procedure

1.6 信号アサイン表の作成

「FPGA - VDECサブボード - パッケージピン - パッド」を正しく接続するため、予め下記のような信号アサイン表を作成しておくと便利です。下記の例は、ATS-100(LSIテスタ)実習解説書で紹介した8bitカウンタを測定する場合の例です。別途必要な情報は、パッド番号 - パッケージ・ピン番号 - DUTサブボード・ピン番号の関係表です。(こちらを参照してください

信号アサイン表作成の注意点

  1. MU200のロジアナ(FPGA)内では、DUTサブボード・ピン番号の表記は下の表のような規則により表記されています。
  2. probe_in[n]はロジアナへの入力信号なので、DUTでは出力ポートを割り当てる。probe_out[n]はロジアナからの出力信号なので、DUTの入力ポートを割り当てる。

DUTサブボード上のピン番号表記ロジアナ内でのピン番号表記
表記法5桁の10進数VDEC上位3桁[下位2桁]
表記例10707
10310
VDEC107[7]
VDEC103[10]

実施例として使用するバイナリカウンタ
Symbol of counter
ポート名機能
d8bitデータ入力
ldデータロード信号入力
enカウント開始信号入力
clkクロック入力
rst同期リセット入力
q8bitカウント値出力
coutキャリ信号出力

信号アサイン表の例
ロジアナの信号名テストベンチの信号名パッケージ・ピン番号DUTサブボードピン番号
probe_out[0]d754VDEC114[10]
probe_out[1]d653VDEC114[11]
probe_out[2]d552VDEC114[12]
probe_out[3]d451VDEC114[7]
probe_out[4]d349VDEC114[9]
probe_out[5]d250VDEC114[8]
probe_out[6]d148VDEC114[4]
probe_out[7]d047VDEC114[5]
probe_out[8]clk33VDEC107[11]
probe_out[9]rst34VDEC107[10]
probe_out[10]ld66VDEC103[6]
probe_out[11]en32VDEC107[12]
probe_in[0]q767VDEC103[5]
probe_in[1]q668VDEC103[4]
probe_in[2]q569VDEC103[9]
probe_in[3]q470VDEC103[8]
probe_in[4]q371VDEC103[7]
probe_in[5]q272VDEC103[12]
probe_in[6]q173VDEC103[11]
probe_in[7]q074VDEC103[10]
probe_in[8]w_cout31VDEC103[7]
信号アサイン表作成用CSVファイルのダウンロード(記入例として上記データも入力してあります)


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