7. I-V測定の実行

  1. 接続方式
    DUTの抵抗によりにより結線は異なります。LEDは比較的抵抗が高いので、図(b)の結線のほうが良い結果を得られますが、ここでは、電圧計の代わりに4線方式の電圧制御を使用するため、図(c)のような結線をを行います。
    電圧源のGURAD端子は、他の計測器のシャーシ(GND)に接続しておくと、シャーシ間の電位差による誤差をキャンセルできますが、必要なければ電圧源のLOと接続しておきます。
    4線式の電圧源は、通常は、SENS端子(左側のHIとLO)をそれぞれ出力端子(右側のHIとLO)に接続して電圧源の内部抵抗の影響をキャンセルしますが、DUTの両端に接続すれば、内部抵抗とケーブルの影響をキャンセルするようにフィードバックがかかり、正確な電圧が印加できます。ここでは、SENS端子を使用して、正確な電圧を印加し、電圧計を省略しています。心配なら、電圧計を使用して、電流と電圧をペアで測定するようにします。[4線式電圧源の仕組み]

    I-V Measurement Circuits
    I-V Measurement System

  2. ケーブルの製作
    MeRLの掟「作らざる者使うべからず」。必要なケーブルや測定用基板は、少しの労力を惜しまず製作すること。プローブピン等を挟む場合以外は、わに口やクリップは禁止とします(わに口でGNDを取っているモノグサな先輩を見習わないように)。精密な直流測定をする場合は、できるだけ電気的および熱的な接触面積を広くするため(熱起電力が問題になります)、バナナプラグも避け、スペードラグ(三日月型コネクタ)を使用してください。微小信号の測定やノイズを特に嫌う場合は、電源線に平行ケーブル+DCコネクタ、信号線に同軸(網線の片側だけシャーシGNDに接続する)+BNCコネクタを使用して下さい。

    [注意] 高周波測定(ケーブルの特性インピーダンス制御が必要)や超微小電流測定(ケーブルのリーク除去が必要)では、ケーブルを自作することはできません。ケーブルは教員に購入してもらいましょう。

    I-V Measurement Setup
    簡易接続によるI-V測定系。下に敷いてある白い板はテフロン板。高周波でも高抵抗、湿度の影響を受けないなどの特性があります。シールドBOXまたはシャーシを製作しない場合は、この上で測定すると良いでしょう。さらに下にアルミ箔を敷いておくと浮遊容量が固定されて測定が安定します。

  3. GPIB測定の設定
    LabViewでの設定に合わせて、7651のGPIBアドレス = 01, 34401AのGPIBアドレス = 02 を設定します。GPIBアドレスの設定は、本体フロントパネルより、以下の操作で設定します。

    7651

    1. SHIFT
    2. MISC
    3. ^ でGPを表示
    4. ENTERを2回
    5. カーソルボタンで値を変更
    6. ENTER

    34401A

    1. SHIFT
    2. CHOICEでI/O MENUを表示
    3. LEVELボタンでADDRを表示
    4. カーソルボタンで値を変更
    5. ENTER

  4. DUTの取り付け
    LabViewの動作確認のため、LED(何色でもよい)を測定してみましょう。ここでは、電圧値が正の時に、順方向になるように接続します。

  5. 測定の実施
    IEEE488インタフェースの接続を確認し、LabView Filesディレクトリのiv1.viを実行します。DC Start Voltage = 0V, DC Stop Voltage = 2.2V, DC Voltage Step = 0.05〜0.01V に設定します。実は、whileループを使用すると、条件判定でFalseとなった回は実行されるので、DC Stop Voltage + DC Voltage Step の電圧が印加されてしまいます。最大定格を超えないように注意するか、LabViewプログラムの改良が必要です。

  6. 測定の終了
    測定が終わったら、本体のOUT LEDが消えていることを確認して、DUTをとり外します。LabViewを終了してから、GPIBインタフェースをPCから取り外して、計測器の電源をOFFにします。


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