10. DC消費電流の測定例

ここでは、第8章で取り上げた直流入出力伝達特性の測定と同時に、電源端子に流れる電流を測定する例を取り上げます。アナログ回路のバイアス電流や論理ゲートの貫通電流などの測定の時に必要となる構成です。

  1. 計測器の概要
    第8章で紹介したADCMT 6146 + Tektronix DMM4040の組み合わせによる、DC特性測定回路に、電源電圧ソース+電流計として、ADCMT 8252 エレクトロメータを追加します。DC電流は、エレクトロメータの電流モニタ機能を使用し、電圧を印可しながら電流を測定しています(VSIM機能)。ただし、ADCMT 8252 の電流モニタは、100nA以上の電流でないと測定できませんので、超低消費電力回路の測定では、通常の微小電流測定モードで測定してください。

    Electro-Meter

  2. ブロックダイアグラムの作成
    第9章では、8252エレクトロメータの電圧掃引機能を使用しましたが、ここでは、8252を電源電圧として使用するため、6146による入力電圧ステップ毎にエレクトロメータに流れる電流を測定します。このため、8252の電圧掃引機能は使用せず、6146で入力電圧を印加した後、DMM4040による電圧測定+8252による電流測定を行うよう、フラットシケンスとwhileループによるシーケンス制御を行っています。グラフは、出力電圧表示用と消費電流表示用の2個を使用し、データは1個のファイルに書き込んでいます。

    Block Diagram 1
    図1 ADCMT 6146とDMM4040部のブロックダイアグラム

    Block Diagram 2
    図2 ADCMT 8252部のブロックダイアグラム

  3. フロントパネルの作成
    頻繁に変更する必要がある定数の電源電圧VDDと掃引を行う入力電圧のStart Voltage, Stop Voltage, Voltage Stepを入力するようにしてあります。グラフの電流軸は、SI表示で小数点1位まで表示するように設定してみました。

    Front Pannel

  4. 測定
    各装置のGPIBアドレスの設定方法は、計測器のマニュアルを調べてください。
    下記の結線は、DUTのGNDとVSSが接地電位となることを想定しています。ADCMT 8252のHI側にはプラス電圧が出力されます。エレクトロメータのVSIM機能を使用する場合は、INPUT端子を使用する必要がありせんので、INPUT端子を電流モニタとは別に、電圧測定または電流測定のために使用することも可能です。ただし、かえって結線が複雑になるので、ここでは使用していません。

    I-V Measurement Circuit


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