5. C-V測定の実行

  1. テスト・フィクスチャーの接続
    実験室のプラケースに何種類かのテストフィクスチャー(接続用の冶具)が置いてありますので、測定対象の形状に合わせて適当なものを使用してください。詳しくは先輩に聞くか各テストフィクスチャーの説明書を見てください。

    BNC Test Leads
    BNCコネクタを使用する場合(16048テストリード)

    プリント基板を用いて測定する場合はは、16048テストリードを本体に接続し、BNCコネクタで接続します。BNCリードは、Lc, Lp, Hp, Hcの4極となっているので、基板側には4本のBNCレセプタクルが必要です。接続の仕方は下の図のようになります。Hが正極、Lが負極、pが電位測定、cが電流測定に対応します。接続を間違えた状態で、バイアス電圧を出力すると、故障する恐れがあるので、接続を変更する前に、本体フロントパネルのDC BIASのLEDが消灯していることを確認して下さい。

    直流〜低周波の抵抗やインピーダンスを測定する機器(インピーダンス・マッチングを行わない回路やデバイスが対象)では、配線インピーダンスをキャンセルするため、4線式接続となっています。できるだけ測定対象(DUT)の近くで、cとpの端子を接続すると高精度に測定できます。[4線式測定の仕組み]

    4 Probe Configuration

    ここでは、16048テストリードは使用せず、リード線がついたデバイスや自分で巻いたインダクタを測定するためのテストフィクスチャーを使用します(下の写真)。左下の金属板は左右のポートをショートする板です(オープン/ショート補正を行うときに使用する)。無くさないように普段は、テストフィクスチャーに差し込んでおいて下さい。

    Leads Terminal

  2. GPIBアドレスの設定
    LabViewでの設定に合わせて、本体にも GPIBアドレス = 17 を設定します。GPIBアドレスの設定は、本体フロントパネルより、以下の操作で設定します。

    1. MENU欄のCATALOG/SYSTEMボタン
    2. LCD横のSYSTEM CONFIGボタン
    3. カーソルボタンでHP-IB ADDRESSを選択(GP-IBはHP-IBとも呼ばれます)
    4. アドレスの数値をキー入力

  3. オープン/ショート補正
    4284Aには、オープン/ショート/ロード(基準器)補正の機能がありますが、ここでは簡単なオープン/ショート補正を実施します。浮遊インピーダンスを予め自動測定して、測定値を補正することができます。配線より小さな容量(pFオーダ)を測定する場合には必ず必要な操作です。補正には、測定モードや周波数毎の補正データが必要です。ここでは、Cs-Rs測定モードに対して全周波数一括で補正データを取っておきます。

    [参考] Cs-Rs測定モードは、DUTがキャパシタンスと抵抗を直列接続した回路と等価であると見なして、容量と抵抗値を測定します。

    1. 本体フロントパネルのメニューより、MEAS SETUP>CORRECTION(LCD右のボタン)を押す。
    2. カーソルキーで、以下の設定を行う。
      OPENON
      SHORTON
      LOADOFF
      CABLE0m
      MODESINGLE
      FUNCCs-Rs

    3. テストフィクスチャーが解放になっていることを確認して、カーソルをOPENの位置に戻し、MEAS OPEN(LCD右のボタン)を押す。
    4. 数分するとOPEN measurement completedと表示され、補正データが本体に保存される。
    5. テストフィクスチャーに短絡版を差し込み(上の写真参照)、短絡状態にして、カーソルをSHORTにして、MEAS SHORT(LCD右のボタン)を押し、数分待つ。
    6. フロントパネルのMENUのDISPLAY FORMATボタンを押して、測定モードに戻る。

  4. DUTの取り付け
    LabViewの動作確認のため、LED(何色でもよい)を測定してみましょう。テストフィクスチャーのHIGH側が、直流バイアスの正電圧側になります。順方向に直流バイアスを印加すると、電流が流れてCs-Rsモードではキャパシタンスが正確に測れないので、逆方向に直流電圧を印加します。LEDの長いほうの足が正極(p型半導体側)となります。

  5. 測定の実施
    IEEE488インタフェースの接続を確認し、LabView Filesディレクトリのcv1.viを実行します。DC Start Voltage = 0V, DC Stop Voltage = 3V, DC Voltage Step = 0.1V に設定します。
    フロントパネルまたはブロックダイアグラムウインドウのツールバーで、右矢印アイコンをクリックして測定を開始します。終了すると、データのファイル名を聞いてくるので、適当なファイル名を入力し、データを保存します。データは、csv形式で保存されます(拡張子は.lvm)。直流バイアス電圧の増加とともに、減少するグラフが表示されていれば正常です。暴走などのため途中で止める場合は、ツールバーの赤丸アイコンまたは、フロントパネルの停止ボタンをクリックします。

    Tool bar

  6. 測定の終了
    測定が終わったら、DC BIASがOFFになっていることを確認して、DUTをとり外します。LabViewを終了してから、GPIBインタフェースをPCから取り外して、4284Aの電源をOFFにします。


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