4. 回路シミュレーション

  1. 回路シミュレーションの設定

    1. シミュレーション設定画面の起動
      回路図エディタで、テストベンチ tb_MUX2 を開き、メニューより、[Launch] → [ADE L] を選ぶと、回路シミュレーション環境 ADE L Test Editor が起動する。
    2. シミュレータの設定
      ADE L のメニューより、[Setup] → [Simulator...] を選択し、Simulator欄にhspiceDと表示されているのを確認してOKボタンをクリック。他のシミュレータが選ばれていたら、hspiceDに変更する。
    3. MOSFETモデルの指定
      ADE L のメニューより、[Setup] → [Model Libraries...]を選ぶと、Model Library Setupフォームが表示されるので、<Click here to add model file>という文字のをクリックし、右側に現れる ...ボタンをクリックすると、ファイルの選択画面になる。spicepar.sp というファイルを選んでOPENボタンをクリック。さらに、Model Library SetupフォームのOKボタンをクリックする。ここで選択した、spicepar.sp というファイルにMOSFETのモデルパラメータが記載されている。
    4. 解析条件の設定
      ADE L のメニューより、[Analyses] → [Choose...] を選ぶか、Choose Analyses...ボタン(右端上1番目のアイコン)をクリックし、Choosing Analyses フォームで、次の設定を行いOKボタンをクリックする。

      Analysistran
      Start0n
      Stop32n
      Step10p
      EnabledCheckを入れる

      この設定で、40ns間のTRAN解析(過渡応答解析)が実行される予定。Stepは、入力波形の立ち上がり、立ち下がり時間よりも短くしておく。ここでは、DC解析(直流解析)は実施しないので、ADE L の Analysis欄で Type = dc 横のEnableのチェックを外して、type = tran だけチェックを入れた状態にする。(typeにdcが表示されていなければ、そのままでよい)

      Fig.4.3

    5. 観測する配線の指定
      ADE L のメニューより、[Outputs] → [Setup...] を選ぶか、Setup Outputs...ボタン(右端上から3番目のアイコン)をクリックして、Setting Outputsフォームを起動する。From Design ボタンをクリックし、回路図エディタで、A, B, SEL, Zに繋がる配線(水色の線)または配線名を順次クリックしていく。選ばれた配線は色が変わる。ここで選択された配線は、シミュレーションにより電圧が観測される。また、インスタンスの赤四角のPinをクリックしておくと、そこに流れ込む電流が観測できる。ここでは、電圧波形を観測するので、青色の配線部分をクリックするように注意すること。全て選択し終わったら、ESCキーで、選択モードを解除し、Setting OutputsフォームのOKボタンをクリックして終了。もし、間違った配線を選択した場合は、ADE L のOutputs欄で、削除したい配線名をクリックして、Deleteボタン(右側の赤いばつのアイコン)をクリックして削除し、再度、Setting Outputsフォームで正しい配線を選ぶ。
    6. 出力データフォーマットの指定
      ADE L のメニューより、[Simulation] → [Analog options] → [Interface options...] 選んで、POSTをASCII(2)に変更する
    7. ネットリストの出力
      ここでは、ADE L から回路シミュレータを直接起動せず、手動で実行するため、回路シミュレーション用のネットリスト(回路図データの標準フォーマットデータ)を出力する。ADE L のメニューより、[Simulation] → [Netlist] → [Create] を選ぶと、ネットリストが、新規エディタ上に表示される。ネットリスト画面のメニューから、[File] [Save As...]を選び、Save Asフォームで、sim ディレクトリをダブルクリックで開き、File name: 欄に、mux2.sp(他の名前でもよい)と入力し Saveボタンをクリック。ネットリスト表示画面、ADE L Test Editor画面は閉じてよい。

  2. 回路シミュレーションの実施

    1. ネットリストの編集
      作成しておいたネットリスト mux2.sp をテキストエディタで下の図のように編集して、同じ名前で保存する。ここでは、シミュレーション結果の保存フォーマットを変更している。
      vlsi> cd  ~/ic1/sim
      vlsi> emacs  mux2.sp &
      

      Fig.4.4
      変更箇所は、.OPTION ディレクティブの以下の部分である。

      +     ARTIST=2   →    行頭に * を追加
      +     PSF=2      →    行頭に * を追加
      
    2. シミュレーションの実行
      下記のコマンドによりシミュレーションを実行する。
      vlsi> setlic  5
      vlsi> hspice  mux2.sp
      
            .
            .
            .
            .
      >info:         ***** hspice job concluded
      

      のように hspice job concluded が表示されたら、シミュレーションが成功している。 エラーが表示される場合は、ファイル名が正しいか、ネットリストが正しく編集されているかを確認する。

  3. シミュレーション結果の確認

    1. 波形ビューワの起動
      下記のコマンドにより、波形ビューワ CosmosScope を起動する。
      vlsi> cscope  -pfiles  mux2.tr0 &
      

    2. 信号の選択
      CosmosScope と一緒に信号名のリストウインドウが起動するので、入出力信号の電圧波形 V(a), V(b), V(sel), V(z) をCTRLキーを押しながらクリックして選択し、Plotボタンを押す。

      Fig.4.5

    3. 回路の動作確認
      Graph0ウインドウにシミュレーション結果の波形が表示される。真理値表の通りに動作しているか確認しておく。真理値表と異なっているようならば、配線や入力波形の設定に間違いがないか確認する。

      Fig.4.6

    [参考] 回路が上手く動作しないときは、テストベンチの負荷容量(C0)の値を確認してみよう。まずは、10f(10フェムト = 10E-15)でシミュレーションする。時間があれば、100fや1fに変えてみよう。100f以上の値だと、立ち上がり/立ち下がり時間が長くなり、論理振幅が小さくなるため誤動作する可能性がある。負荷容量の大きい回路(ファンアウト数の大きい回路や長い配線に出力がつながった回路)を高速動作させるためには、MOSFETを並列に接続し、より大きな充放電電流を流す必要がある。フェムトファラッドは、電子工作では無視できる微少容量だが、高速動作する集積回路内では、大きな容量である。

  4. レポート提出データの保存

    1. レポートとして提出するデータを保存しておくためのディレクトリを作成する。
      vlsi> cd  ~/ic1
      vlsi> mkdir ic1_bbb_cccc
      ただし、bbbは名列番号、ccccは姓(ローマ字、文字数は任意)とする。
      
    2. テキストエディタ(emacsなど)で、readme.txt というファイルを作成。中には、名列番号と氏名を記入。後で、レポート提出の際に、このファイルに、結果、考察などを追加記入する。
    3. シミュレーション結果のグラフの保存
      CosmosScope のメニューから、[File] [Export Image...] を選び、File name を mux2.png としてSaveボタンをクリックする。先ほど作成した、レポート保存用ディレクトリに、シミュレーション結果のファイルをコピーしておく。
      vlsi> cp  mux2.png  ~/ic1/ic1_bbb_cccc/
      ただし、ic1_bbb_cccc は先ほど作成したディレクトリとする。
      


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