増幅回路では、AC解析の結果から、性能指標を算出し、素子値を最適化したい場合が多い。ここでは、.stepと.measを応用して、利得、帯域、位相余裕を算出する方法をまとめておく。この回路例では、OUT1は、電圧増幅回路単体の出力、OUT2は、インピーダンスバッファ(エミッタフォロワ)を付けた電圧増幅回路の出力となっている。
.meas ac gain find mag(V(OUT)) at 1kHz
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1kHz での利得の測定
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.meas ac fc trig mag(V(OUT))=gain/sqrt(2) rise=1 targ mag(V(OUT))=gain/sqrt(2) fall=last
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帯域の測定
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.meas ac pm find ph(V(OUT)) when mag(V(OUT))=1 fall=1
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位相余裕の測定
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- .meas ac gain
- AC解析を用いて測定した結果を変数gainに保存する。測定結果は、他の測定で使用することができる
- find mag(V(OUT)) at 1kHz
- 1kHzにおけるV(OUT)の振幅を測定。AC解析の結果V(OUT)等は、複素数で保存されている。mag()は振幅、ph()は位相、Re()は実数部、Im()は虚数部を求める関数
- trig - targ
- 測定開始位置と測定終了位置を条件文により指定する構文
- mag(V(OUT))=gain/sqrt(2)
- 条件文、V(OUT)の振幅が、先に求めたgain/sqrt(2)と等しくなる周波数を求める。V(OUT)をグラフ表示するとデフォルトでdBと位相(度)表示されるが、内部では、複素数で保存されているため、-3dBポイントは、gain/sqrt(2) となることに注意
- rise=1
- 条件文を満足する際に、下から上に通過する最初の周波数を求める
- fall=last
- 条件文を満足する際に、上から下に通過する最後の周波数を求める
- find ph(V(OUT)) when mag(V(OUT))=1 fall=1
- 振幅が1(倍)= 0(dB)になる最初の周波数での位相を求めている。例題の増幅回路は反転増幅回路(入出力位相差が180度)であるため、V(OUT)の位相が位相余裕度に等しくなる
以下に、シミュレーション結果の表示例を示す。この他に負荷容量を変化させたシミュレーションも実施しておく必要がある。この回路例では、大きな負荷容量を与えると、OUT2の位相余裕が負となり、不安定化する様子が観測されるはず。
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