5. パターンベクタの作成とテストの実行

  1. パターングリッドによるパターンベクタの作成
    手入力で入力パターンベクターを作成して、動作検証を行うまでの手順を説明します。この方法は、出力パターンが複雑でない場合や出力パターンを別のツールで検証する場合に有効です。

    1. Project File欄上部のNewボタン(+ アイコン)をクリック
    2. ドロップダウンリストから [Pattern] を選択
    3. Patterm Name = Inverter(任意) を入力
    4. 表の上を右クリックして、ポップアップメニューから、[Insert Pin Item Column] - [A] を選択
    5. 同様にして、Y1, Y2, Y3, Y4, Y5, Y6も選択
    6. 表の上を右クリックして、ポップアップメニューから、[Insert Multiple Vectors]を選択
      Number of Vectors to Insert = 4 を設定
    7. 表にVector 1 - 4 が追加される
    8. Vector = 0 のOpcode列に書かれている halt を削除して、Vector = 4 のOpcode列に halt を入力
      haltによって、バースト(パターンの実行)が停止するので、必ず終了サイクルのOpcode欄にhaltを記述します。haltで停止した場合は、そのパターンベクトルの状態が維持されますが、haltなしでバーストが終了した場合は、不明状態となると説明書には書かれています。
    9. 下図のように、1, 0, H, L のパターンを入力
      ツールバーでGridとWaveformを切り替えることができます。

      Toolbar 1

      [重要] Digital Pattern Editorでは、ドライブモード(DUTの入力)と比較モード(DUTの出力)は、ここで入力した論理値によって決定されます。(1, 0)は、ドライブモードの論理値であり、(H, L)は比較モードの論理値です。

      Pattern 1

      論理値の定義
      論理値説明
      1ドライブ値 = 1(DUTが入力)
      0ドライブ値 = 0(DUTが入力)
      H期待値 = 1(DUTが出力)
      L期待値 = 0(DUTが出力)
      X期待値 = Don't care. (DUTの出力を問わない)
      MMidband = LとHの間 (H/Lの電圧範囲外)

  2. TDR (Time Domain Reflectometry)
    測定の前に、TDRを用いてピン間のスキューを補償します。TDRは、終端開放条件で行います。プローバの場合は、プローブ針を上げた状態にし、ソケットの場合は、DUTをはずします。回路基板の場合は、コネクタをはずしますが、スキューが補償されるのはICピンではなくコネクタの位置になります。また、開放端までの線路の特性インピーダンスは50ohmであることが前提です。

    1. メニューより、[Instruments] - [Connect] を選ぶ
    2. Connect to Instrumentsダイアログが表示されたら、Create New Sessions ボタンを押す
      テスタとケーブルが接続されます。既に接続されている場合は、このメニューが選べないので、そのまま進みます。
    3. メニューより、[Instruments] - [TDR...] を選ぶ
    4. Time-Domain Reflectometryウインドウが現れるので、Run TDR ボタンをクリック
    5. 各IOピンの補正値(測定値)が表示されるので、異常な値がなければ、Applyボタンをクリック

      TDR

  3. パターンの実行
    作成したパターンベクトルを用いて、測定を実行します。

    1. 右側ツールバーのPin Viewボタン(黒い三角アイコン)をクリックし、Pin = VDD1 を選択
    2. VFの文字の横にある電源ボタンをクリックして、DUTに電源を投入する
    3. ツールバーのConnect Pins on Burstボタン(スイッチ記号のアイコン)が押されて、青い影がついていることを確認
    4. ツールバーのバーストボタン(青い三角)をクリックすると、測定が実行される
      もし、Load Files to Instruments? ダイアログが表示されたら、Loadボタンをクリックします。この確認メッセージは、波形やパターンベクタを編集した後、編集結果がまだメモリにロードされていない場合に表示されます。

      Result 1

    5. エラーがある論理値が赤字で表示され、エラーのある行の背景は薄い紫になる
      上図の例では、Y6の期待値を誤って入力したため、期待値と測定値が一致していないので、エラー判定されています。エラーは、History RAMをオーバレイしないと表示されないので、上部ツールバーのOverlay Last History RAM Resultsボタンが押されて青い影がついていることを確認してください。

  4. 波形の観察
    エラーがあった場合は、エラーの出たベクトル前後の波形を,、Digital Scopeを用いて観察すると、原因がよくわかります。

    1. ツールバーで、Show Digital Scopeボタン(波形に赤い矢印がついたアイコン)をクリック

      Toolbar 2

    2. Settings欄に下記の設定を行う
      Pattern = Inverter
      適用したいパターンを選択
      Pins/Pin Group = INVERTER_IO
      観察したいピンまたはグループを指定
      Start Cycle = 0, Number of Cycle = 5
      ここでは全パターンを指定
      Number of Steps = 1000
      波形の測定点数を指定(あまり大きくすると時間がかかる)
    3. Run Digital Scopeボタン(青い三角アイコン)を押す
      1. 波形表示ウインドウ上部のツールバーボタンを使って、適当に波形を拡大縮小する
      2. グラフの0sのところにカーソルが用意されている

      Digital Scope

      [参考] 上図の測定例では、立ち上がり時と立下り時に、少し振動が見られますが、ストローブ位置(グラフ中の青い矢印)では、正しい論理値になっています。信号Aには、反射波(段差)が観測されます。回路基板やICのピンが50ohm終端していないためです。


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