付録2: MOSFETからのレイアウト設計

  1. マスタースライスの構造

    マスター上のMOSFETは、下図のように、D/S(ドレインまたはソース), G(ゲート), M(配線パーツ)が順番に並んでおり、第1層メタル(赤色)につながっている。さらに第1層メタルの両端は、第2層メタル(シアン色)に接続されている。これらのリソースをうまく利用して、回路を組み立てていく。第2層メタル(シアン)は、電源配線が邪魔をするため、MOSFETの上を縦に通過することができない。しかし、第1層メタル配線部品Mを用いて、MOSFETの中を配線が通過することができるようになっている。Body電極は、第1層メタルを使って既に配線済みである。

    Fig.9.1a
    p-ch MOSFET行の構造

    Fig.9.1b
    n-ch MOSFET行の構造

  2. インバータのレイアウト

    慣れるまでは、配線を入力する前に、どのように配線するか紙の上で考えておいたほうが、間違いが少ない。

    配線下書き用紙のダウンロード

    インバータの下書き例を下図に示す。Bodyは接続済みなので表記していない。Tは、n-ch MOSFETのゲートをvss!に接続またはp-ch MOSFETのゲートをvdd!に接続することを意味している。これにより、ゲートがOFFになり、隣のMOSFETとのショートを防いでいる。

    Fig.9.2
    配線の下書き例

    Fig.9.3
    実際の配線例

    配線が完了したら、COMMENTレイヤーで、[Create] → [Shape] → [Rectangle] によりインバータの周囲を囲っておく。また、[Create] → [Label...] で、セル名を書き込んでおくと、他の回路でインスタンスとして呼び出して使うときに、何のレイアウトか判別しやすい。

  3. NANDのレイアウト

    NANDのn-ch MOSFETは、2個が縦に、4個が横に並列接続される。縦の接続や横の接続は、マスタ―上でどのように表現できるか考えてみよう。

    Fig.9.3
    ノイズマージンを考慮したNAND回路

    下記の接続では、G1-G2間、G2-G3間、G3-G4間のドレインとソースが互いにマージされ、配線が省略されている。配線と面積を減らすだけではなく、ドレインとソースが一つになることで、寄生容量が小さくなるため、動作が高速になる。

    Fig.9.4a
    n-ch MOSFETの縦接続

    下記のレイアウトでは、G1とG2のドレインとG3とG4のドレインがマージされる。

    Fig.9.4b
    n-ch MOSFETの横接続

    NAND回路は、4個並列されたn-ch MOSFETが縦2段に積まれている。このままレイアウトをすると配線が多くなるため、ここでは、下記のように配線を省略した等価回路を使用する。横方向に長い配線が必要になるが、n-chとp-chの間に2トラック、n-chの上に1トラック、p-chの上に2トラックの横方向配線が可能になっている。

    Fig.9.5

    Fig.9.6
    2入力NANDの配線下書きの例


[Table of Contents]


お問い合わせはこちらまで: kitagawa@is.t.kanazawa-u.ac.jp

Copyright (C) 2017- Akio Kitagawa, Kanazawa Univ.