MOFETモデルパラメータのスイープ

集積回路の設計では、市販の半導体素子を使用する場合と異なり、MOSFETのサイズパラメータを、1素子毎に自分で設定する必要がある。LTspiceの標準Componentに含まれる nmos4, pmos4 を使用することで、各MOSFET毎に、集積回路設計に必要なパラメータ値を与えることができる。パラメータを与えなくてもシミュレーションはできるが、デフォルト値が使用されるため、シミュレーション結果が実際と大幅にずれることになる(特に過渡応答解析)。レイアウト設計をしないと正確には分からないパラメータ値もあるが、大体の値でよいので全ての値を入れておく必要がある。

  1. nmos4(n-ch), pmos4(p-ch)を配置する
  2. MOSFETの記号を右クリックするとパラメータ設定フォームが開く
    n-ch MOSFETのパラメータ設定例
設定フォームで設定できるのは、下記のパラメータである。これらのパラメータは、L、C, Rの値などと同様、変数を用いて、.param や .step param により値を設定することができる。
Parameters意味
Model Nameモデルパラメータファイルの中に .model に続いて書かれている
Length(L)ゲート長 L
Width(W)ゲート幅 W
Drain Area(AD)ドレイン領域の面積 W*D
Source Area(AS)ソース領域の面積 W*D
Drain Perimeter(PD)ドレインの周囲長(ゲート側は除く) W+2D
Source Perimeter(PS)ソースの周囲長(ゲート側は除く) W+2D
No. Parallel Devices(M)並列接続数(※)
※ MOSFETに大電流を流したい場合や、2つのMOSFETに正確に整数比の電流を流したい場合に、同じ形状のMOSFETを並列接続して使用する。並列接続されたMOSFETを1個のシンボルで表していることを表すパラメータがMである。M = 1 (デフォルト値)は並列接続していないことを表す。

当然、WやDを変数とした場合、AD, AS, PD, PS も変数で表す必要がある。概略の固定値を入れておいても良いが、正確を期したいのであれば、上記のパラメータを全て{変数名}とし、.paramコマンドで、変数に計算値を代入する。例えば、W={Wn}(スイープ変数)、 D=3u(定数)の場合、

のようにし、回路図エディタより、下記の計算値を代入する。

.step param Wp 10u 30u 1u
.param ADp=Wp*3u ASp=Wp*3u PDp=Wp+6u PSp=Wp+6u Mp=1


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